講評
(高校生の部)
 今月は言葉へ荷重がかかり意味的な作りが目につきました。内容はとても大切ですが感性を生かしてのびのびと作ったほうがより新鮮であり句が広がるように思います。
句番号作品作者
1空蝉に真昼の海が残っている夢野サリー
中七下五の表現がとても詩的で上手ですね。空蝉の透明な感じが言い得ています。
句番号作品作者
6葉鶏頭なぜ高一のメランコリー源のび太
二学期が始まったばかりなのに鬱な気分、思春期の揺れやすい気持ちを素直に作っています。葉鶏頭の赤さも対照的でいいと思いました。
句番号作品作者
7「チョコレート」呟いて噛む賢治の忌ずんぞ〜
チョコレートのほろ苦さは沈んでいる気持ちを慰めてくれるような気がします。「呟いて」と一拍置いたことにより気分がさらに強調されましね。
句番号作品作者
8トマトもぐ明日は試験最終日夢野サリー
トマトをもぎながら「うまくいったかな」と試験の不安な気持ちをトマトの赤さで表しています。平明で素直な句ですね。
句番号作品作者
10貝殻の海鳴りいつも母がいる源のび太
貝殻を耳に当てると海鳴りが聞こえてくるようですね。それは貴方を見守る母のあたたかさのようにいつも胸を充たす。少し甘いようですが感性のよい句です。
句番号作品作者
13風よりも白詰草の香りかな源のび太
詰草は陶器などのクッション材として海を渡ってきた植物のようですね。白詰草の清潔感が風にとても合います。
句番号作品作者
14セーラー服銀杏黄葉の空になる源のび太
秋の青い空と銀杏の黄色がくっきりして少女たちが映像のように見えます。説明のいらないくっきりとした句です。
句番号作品作者
15寝ることのふとためらひて終戦忌神尾しろねこ
この句は終戦忌をどういかしているかが問われます。言葉で説明せず物で表したほうがより句が広がります。俳句は余白があったほうが読むひとがいろいろ想像できて面白くなります。この句はまあまあ出来ていますが少し説明的な気がします。