講評
(小中学生の部)
今日から11月、10月は「紅葉だ、実りだ」とにぎやかな感じがする秋でしたが、11月はなんだか少し寒さも感じて寂しい秋になりますね。
11月も俳句を楽しみましょう。
10月の句は、8句でした。選句をしてくれた人もいてうれしくなりました。
では、早速感想を。
句番号作品作者
1ヘチマをスケッチ足に大きなアリがきた子まり
きっと夏の間にヘチマを育て、秋にはずいぶん大きくなったのではないでしょうか?
ヘチマの棚の下で、ヘチマを実際に観ながらスケッチしていると、足にアリが。それもずいぶん大きい黒いアリなんですね。
アリが上ってくる・・・・足に感じる足のくすぐったさまで伝わってくるような気がしました。
ただし、俳句では「へちま」は秋、「蟻」は夏の季語ですね。実際にそうだったんだというのもよくわかるのです。季語が二つある俳句もだめというわけではないのです。この場合は、一つの景色の中にヘチマも蟻もいるのがいいところなのですから。夏から秋への季節の移り変わりの句としていいと思います。
でも、もしも、もう一度考えてみて、どちらかにしてみるということもおすすめします。一度作った俳句を練りなおすこともできるといいですね。
句番号作品作者
2トンボ来た教室算数進まない子まり
教室の窓から、さわやかな秋の風とともに入ってきたトンボ。
作者は今算数の授業中。自由に空を飛んでいるトンボに、なんだかうらやましそうな目を向けているようですね。なかなか進まない算数、「いいなあ、この教室から出ていくことができるんだものなあ」と。でもトンボにはトンボの事情もあると思いますけどね。
素直で気持ちのよい句だと思いました。
句番号作品作者
3赤とんぼノートがきれいにできましたドナルドダック1
さて、こちらは赤とんぼ。ノートをきれいに仕上げるのって、結構楽しいですよね。
こうでなくちゃいけない、というノートもあるだろうけど、自分のアイディアで見やすくペンの色を変えたり、見出しを付けたり。こり出すと案外時間もかかります。
「やっと、できた!」と満足げな顔の作者。赤とんぼにも自慢したくなりますよね。
句番号作品作者
5二学期へ ラジオ体操かいきん賞野花
夏休みの間のラジオ体操、がんばって皆勤賞。早起きがんばったんですね。そのがんばりを二学期に向けてのやる気にこめている作者の意気込みを感じます。
何事にも一生懸命な前向き思考。2学期はどんな出来事が待ち受けているのでしょう、楽しみですね。
句番号作品作者
6金管のくちびるしびれる秋の風ドナルドダック1
金管楽器を一度でもくちびるにあてたことがある人なら、誰でも感じたことがあるのでは?金属独特の冷たさやにおい、振動の伝わり、吹き終わった後のしびれ・・・。
「くちびるしびれる」は、音にすると似ている音が出てきて、聞いていても語感がいいです。「金管のくちびるのしびれ」という何とも言えない感覚をとらえて俳句にしているところや「秋の風」と終わるさりげなさも、秋らしくていいと思いました。



選にはもれましたが・・・ほんの一言。
句番号作品作者
4秋の跳び箱 せみが鳴くとうかいゆうと
「秋の跳び箱」と言う目の付け所はいいと思います。
跳び箱にも季節感を感じて俳句にしようと試みているのですね。
自分が跳び箱を跳んでいる時に、体で感じたことを表す言葉が続くとよかったのかな?と思いました。
句番号作品作者
7秋風ヘ ドンドコドンドコ 鼓笛隊朝日丘サンクラブ
秋風がこちらに働きかけてくるのではなく、「秋風へ」としているところはおもしろいと思いました。どんな曲を演奏しているのかな?
句番号作品作者
8閉まっている図書館 ガラスに秋の日かハローキティ
「〜か」で終わると、まだ何か言いたいのだろうか?と思ったのです。もう少しわかりやすく、作者の言いたいことがでているといいなあと思いました。