村田 まさる(むらた・まさる)第10回現代俳句協会年度賞受賞

村田 まさる(むらた・まさる)

昭和16年生まれ

  • 昭和48年、「林苑」入会、太田鴻村に師事。
  • 昭和58年、「林苑賞」受賞。
    その後、「天籟通信」「像」「花曜」「丘」に参加。現在、「樫」「丘」に所属。
  • 句集に『磔刑』
 
「セザンヌの色」     村田 まさる
 
  草萌や生命線の果てに海
  ひるがえる燕は天の句読点
  ふりをして亀は鳴くこと思案中
  少年も土筆も背のびして孤独
  セザンヌの色になりたい春の水
  利休忌の湯呑みの中に空がある
  残花残照さすらう雲がかたち変え
  十薬の所為でわたしの人ぎらい
  蛍火に逢いし一夜の不整脈
  筍の二等辺から朝が来る
  苺摘む邪馬台国に深入りし
  陸封の山女に固き雨の粒
  わが影を出て消息を絶つ目高
  面影の一つ重なる沙羅の花
  羽抜鶏風に吹かれること覚え
  忘却は白にはじまる大南風
  夏空を高枝鋏傷つける
  いつ見ても金魚明るく歳をとる
  十六夜のどこを摑まえても一人
  半月やドアの取っ手が痩せている
  長月の硝子に映る夜の静寂
  月夜茸その一本は他界なり
  あるときは山の音する木の実独楽
  たましいのだんだん透ける落葉山
  すりあしでゆけば綿虫出てきそう
  余命とは林檎の円い線である
  帝国の陰に日向に冬木立
  十字架をイエスと分かつ寒鴉
  凍鶴に晒一反青ざめし
  白鳥のふわりと泛ぶ化粧室
 
 
※句は現代俳句データベースに収録されています。
※受賞者略歴は掲載時点のものです