花も葉も水にゆだねて水中花 亀田虎童子 評者: 倉橋羊村

 水中で開く人工の花や葉が、水中花の見せどころである。箱庭感覚を更に人口的に徹底したものといってよかろう。異次元というほどではないが、ほどほどに、興ざめにならない程度の現実離れが、たのしめるのである。精巧を極めずぎなくてもよいが、嘘っぽくなってはいけない。江戸趣味をかすかにとどめる一種の遊び精神が、それなりに凝った要素を見せながら、不即不離の姿で健康なバランスを保つところが、水中花の含蓄だろう。
 
評者: 倉橋羊村
平成14年8月1日