無礼なる妻よ毎日馬鹿げたものを食はしむ 橋本夢道 評者: 阿部完市

 治安維持法また戦争の只中―橋本夢道は、自らの思い・思想・心のままに、その生涯をつらぬき通した。食料事情の極度の悪化―「なんでこんなもん食わならんのだ。」「こんなもの食わしやがって、うちの女房は・・・。」こんなものしかない、何よりも誰よりも俺にうまいものを食わせたい女房なのに・・・。そんな妻の心情を思うと、心濡れてくる。「無礼者」―そんな言葉しか口に出せない―夢道の悲しさ、辛さ。そんな心の一句である。
 
評者: 阿部完市
平成14年12月31日