秋風や芭蕉の終の峠にて 藤本安騎生 評者: 和田悟朗

 昨日(十月三日)、奈良県平群町(へぐりまち)で、例年十月第一日曜に行なっている道詮忌献句会が開かれ、百人ほどの俳人が集った。平群は西に生駒山、東に矢田丘陵があり、その谷には竜田川が流れる南北に細長い地形だ。かつて芭蕉は、最後の旅として、奈良を出発し、生駒山を越えて大阪に向かった。生駒山を越える峠は暗峠(くらがりとうげ)で、現在もその山路は残っている。この作者は、この句会の朝、早々に暗峠まで登り、そして下りて句会に参加した。峠から見ると、大阪平野は晴れていたが、平群の側は時ならぬ雨が降っていたそうだ。
 
評者: 和田悟朗
平成16年10月4日